プロムスのシベリウス交響曲全集(2)、ヴォルコフの巻

前日に続き、日曜日のプロムスは生誕150年を迎えたシベリウス交響曲全集の2回目です。

8月16日 ≪Prom 42≫
シベリウス/交響曲第3番
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
マイケル・フィニッシー Michael Finnissy/ヤナ Janne (BBC委嘱、世界初演)
シベリウス/交響曲第4番
 BBCスコティッシュ交響楽団
 指揮/イラン・ヴォルコフ Ilan Volkov
 ヴァイオリン/ジュリアン・ラクリン Julian Rachlin

オーケストラは第1回と同じBBCスコティッシュですが、指揮者はヴォルコフに替りました。連日の演奏会、別のプログラムというりも大変ですが、指揮者も替り、新作の世界初演もあるという具合で、チョッと日本では想像もつかないハード・スケジュール。流石に譜読みの速さに掛けては世界一の英国の団体ではありますネ。
ヴォルコフは、ヴァンスカの後を継いて2003年から2009年まで首席指揮者を務めた人で、現在は首席客演指揮者に復帰しています。都響に客演したこともあり、現代音楽のチャンピオンとして知られているようです。

そのシベリウス、作品については特に書くこともありませんが、演奏は前日のダウスゴーが古楽器系を連想させるような速目のテンポと淡白な表現に傾き勝ちだったのに対し、ヴォルコフはテンポも穏当で、私はずっと気に入りました。
いや寧ろ、シベリウス指揮者としては相当高く評価しても良いと思いました。

協奏曲は、ラクリンがストラディヴァリウスをたっぷり聴かせてくれます。“シベリウスにはソロの作品がないので”と言って弾き出したのはイザイのソナタ第3(バラード)。目が眩むようなアンコールでした。

最後に、間に挟まれて世界初演されたフィニッシーの新作に付いて。フィニッシーは1946年生まれの英国の作曲家で、戦後世代では長老格です。日本ではほとんど知られていないと思いますが、プロフィールはこれが参考になるでしょう。

http://www.michaelfinnissy.info/index.php

一部の作品はコンポーザーズ・エディションという出版社で閲覧することも可能ですが、全てこのホームページから飛ぶことが出来ます。
今回の作品は「ヤナ」と発音し、もちろんシベリウスの名前を意味します。特にシベリウス作品と一緒に演奏されるということで、シベリウスに触発された作品。演奏は15分ほどで、ファゴットの独白から始まり、後半はヴァイオリン・ソロが活躍する室内楽的管弦楽曲です。
室内楽的という所が次の第4交響曲にも通じますし、今回NMLで色々聴いた彼の作品も大音量のものは少ないようで、作風には室内楽的な印象を持ちました。極めて難解な「レッド・アース Red Earth」に比べれば、聴き易い新作でしょう。

 

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